「昔、父親から、日本に帰りたいと思うな。二、三日は親も兄弟も大切にしてくれるが、彼らだって食うにせいいっぱいなんだ。それに朝鮮人と結婚していると差別されるぞ。アメリカ人と結婚して生まれた子供でも石を投げられたりする。差別のないロシアで生きろって、便箋五枚に書いてきたんです。それっきり日本へ帰るのはあきらめたよ」 この発言は、日本人妻たちが寂しさを紛らわすために、仲間うちの家でしばしば開いている日本食パーティの席で出た。彼女たちのほとんどは、大正末から昭和ひとケタ生まれで、韓国・朝鮮人と結婚している。(猪瀬直樹『ニュースの冒険 「昭和」が消えた日』文春文庫、1993) こんにちは。自宅療養4日目…