この事件は陸軍を二分した「皇道派」と「統制派」の内部抗争に端を発した軍部クーデタだった。そしてクーデター失敗により失墜した皇道派にかわり陸軍の覇権を掌握した統制派の独裁が進展した。その結果が軍部の暴走を招いた, というのが通説です。 私はこの事件の本質は国体護持を錦の御旗とした「天皇制官僚システム」が軍部クーデタを逆手にとった「カウンター・クーデタ」であったと思います。この事件で軍部は戦略なき国軍という醜態を天皇制官僚システムの目の前に晒してしまいました。通説では事件を契機に暴走したのは軍部とされますが、暴走の陰の主役は軍部を機動力に組み込むことに成功した天皇制官僚システムではないでしょうか。…