Northern Lights 星野道夫の著作。遺作集。1997年、新潮社より刊行(ISBN:4103956038)。2000年2月、新潮文庫収録。
ノーザンライツとはオーロラ、すなわちアラスカの空に輝く北極光のことである。この本には、運命的にアラスカに引き寄せられ、原野や野生生物と共に生きようとした人たちの、半ば伝説化した羨ましいばかりに自主的な生涯が充ち満ちている。圧倒的なアラスカの自然を愛し、悠然と流れるアラスカの時間を愛し続けて逝った著者の渾身の遺作。カラー写真多数収録。
・エスキモーたちがこのアラスカに住むようになって、何千年になるのか何万年になるのか彼は知らなかったが、その気も遠くなるような長い年月の間に彼等は、暗夜の航法を体験として取得し、彼等の血の中に伝えたのだと思った。それは渡り鳥が、天体の動きと、腹時計によって何千マイルも航行するのとよく似ていた。 ・(犬橇について)犬と人のチームワークはエスキモーに関する限り芸術的でさえある。 ・エスキモーはほとんど野菜を食べなかったが、壊血病になるものはなかった。…生肉を食べるか、食べないかの差であった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 探検家・植村直巳氏は今もマッキンリーの山の懐に抱かれ眠っているであろう。写真家の星野道夫…