下の画像を見てほしい。 闇の中、誰とも知れぬ胸像を無数の照明がとりまいて、しらじら浮かび上がらせている。 重い雰囲気のある展示。だが、この照明――よく目を凝らすと電球ではない。 フラスコである。 ただのひとつの例外もなく。 どの明かりにも、フィラメントは通っていない。 冷光なのだ。 フラスコ内壁に寒天培地を張りつけて、発光菌を培養、繁殖させた代物である。大正時代、東北帝大で教鞭を執った植物生理学の大家、ハンス・モーリッシュが好んでこれを作製し、魅入られたように暗室で眺めた逸話から、「モーリッシュのランプ」と通称されることもある。 (Wikipediaより、大正二年、東北帝大) 「蛍雪の功」とは…