手塚治虫が70年代に描いた「ばるぼら」はインモラルな匂いのする大人の漫画です。 主人公の美倉洋介がバルボラと出会う書き出しからして良いのだ。 都会が何千万という人間を飲み込んで消化し、 垂れ流した排泄物のような女 それがバルボラ 私が彼女に遭ったのは新宿駅 群集から少しはなれて、 柱のかげにうずくまった彼女を見て、 気分でも悪いのかと医務室へ連れてったのが最初である と、来たもんだ。 (手塚治虫「ばるぼら」全2巻) 当時はフーテンと言ったらしいですが、これはまあどう見ても薄汚れたホームレスの若い女です。 新宿駅で行き倒れになりながらヴェルレーヌの詩を口ずさんでいるという変わり者ですが、美倉はバ…