ここ数日、蝶を立て続けに見て、飛ぶものへと思いを馳せていた。よく見回せば、空を浮遊する生き物は日常の景色の中に意外と多く潜んでいる。散歩中に少女が犬に引きずられながら、無茶振りする犬を嗜めていた。その様子のあまりのいじらしさに、私も一緒に犬の背を撫で、おとなしくさせてやった。昔犬を飼っていたことがあるが、犬の毛に触れるのは久しぶりだった。その毛ざわりに、私の犬との違いを感じて、彼(犬)のことを思い出していた。 私は以前、田舎に蟄居して小説を書いて暮らしたいと言っていたが、今は概ねそのような生活になっている。いくらか奇妙な歪みはあっても、願っていたとおりになっている。ある時は、金があったら宮城ま…