イタリアには怨念がある。 第一次世界大戦酣なる秋(とき)、連合側で参戦する見返りに、英仏が約した蜜のような条件を、戦後ごっそり反故にされた怨念が。 期待が大きかっただけ、失望もまたのっぴきならない水準に。このためいっとき講和会議の舞台から、代表者らが「堂々退場」する事態になったほど。どこぞの愛国詩人なぞ、悲憤慷慨募るあまりに血涙を流さんばかりの態で悔しがり、結句暴発、義勇兵を引き連れて「未回収のイタリア」を強引に回収せんとするロマンティックな軍事行動に敢えて踏み切る椿事もあった。 (Wikipediaより、ガブリエーレ・ダンヌンツィオ) ──話が違うではないか。 この叫びこそ戦後のイタリア人た…