今回紹介する本はタイトルそのまま、奥野克巳『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(新潮文庫、2018年)なのですが、まずもってこの本の問いの立て方がじつに興味深い。 まずはそこから読んでほしいのですが、先史から狩猟採集社会を営んできた東南アジアのボルネオ島に暮らす森の民プナンのもとでフィールドワークしてきた著者が、定住農耕社会を前提とするわれわれの現代社会とはあきらかに異質な彼らの発想、考え方、通念に触れて驚き、われわれの尺度からすればあまりにも"いいかげんな"彼らの生活態度に振りまわされながらも、そのなかにさまざまなもの発見をしていく過程は、読んでいてほん…