本書は英国作家マーセル・セローによる《近未来サバイバル小説》です。旧ソビエトの取材に基づく緻密な描写、随所に敷かれた伏線、リアルで重厚なディストピア観が特徴です。翻訳は村上春樹。 《あらすじ》 科学技術は地上に壊滅的な被害をもたらした。人々は極北の地に逃げ延びたが、厳しい生存環境下で治安を維持していくことは叶わない。そんな人類の生き残りメイクピースは、無人の町で細々と日常性を維持していたが、仲間と共に暮らす夢が完全に失われると衝動的に入水自殺を図った。しかし、死の淵で複葉飛行機の飛影を目撃する。 『もう一人きりじゃないんだ』 しかしそれが告げているのは、絶望のゆえに自らを放棄してはならないとい…