ある日、妹が猫を拾ってきた。 川沿いの小屋でふらふらしていたらしい。 かなり衰弱していた。 痩せこけて眼球がすこし奥に引っ込んでいた。 自力で歩くこともままならず、鳴き声もかすれてやっと聞こえる程度だった。 それまでどうして過ごしていたのか。 緑の首輪が付いてはいたが、とても大切に扱われていたとは思えない。 実家に来てからは、ほんの一週間ほどの付き合いだった。 母や妹が病院に連れて行って診てもらったり、食事や温度の管理に気をつけて看病していた。 きっと喜んでいてくれただろう。 亡くなる前の夜に僕は東京へ帰ったのだが、帰る直前、しきりにこちらに向かってそのかすれ声で鳴いてくれていた。 これが会う…