『現代の哲学』(講談社学術文庫 1991, 日本放送出版協会 1969) 木田元の処女作。気負いもあり凝縮度の高い著作で、一通り読むのに緊張感を強いるところもあるのだが、20世紀の学問的状況を通時的に、幅広く、手際よく整理しているところが魅力的な著作。扉には小林秀雄訳のランボーが引かれていたり、ホフマンスタールとフッサールの交流について言及されていたりして、木田元の文芸的な感性も覗いていて幅広い関心に対して開かれている。 20世紀初頭の数学と科学の基礎に関する根源的な問い直しと、それに並行するようにして出現したフッサールの現象学とそこから出てきたハイデガーの思想やメルロ=ポンティの思想を中心に…