To Vlemma Tou Odyssea
アメリカから故郷ギリシャへ35年ぶりに戻った映画監督。ギリシャで最初の映画フィルムを探す彼の彷徨の旅を、ギリシャ神話に登場するオデュッセウス(ユリシーズ)の流浪の旅になぞらえ、バルカン半島の現代史をたどりながら描く。
テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX II (ユリシーズの瞳/こうのとり、たちずさんで/シテール島の船出)
公開時、映画館で観たが、全く意味が分からなかった。表題の「瞳」は英語では「gaze」なので「まなざし」で、指示しているのは瞳自体ではなく、瞳が見たものだ。ギリシャ語でも同じである。 ユリシーズとはオデッセウスの別名で、トロイ戦争を勝利に導いたのち、ポセイドンに航海の邪魔されて帰国できずに放浪、息子のニコマコスが乱れた自国を憂いて父探しに出かけ、合流、帰国し妻に言い寄る男たちを殺すギリシャ叙事詩の主人公である。 主人公のハーベイ・カイテルはミスキャストだと思う。映画の前半は、なぜこの人だったのだろうと、疑問を持ちながら観続けた。調べてみると、両親はそれぞれ東欧の出身だが、ギリシャとは関係がない。…