ヨハン・ハリ著/作品社/2021年 「麻薬と人間」読了。 スマホを手にして以来、読書体力がすっかり落ちてしまった自分にはもうこんな分厚い本は読み通せないかも、と思いつつ手に取ったが、あまりにすごい内容で、昼間は前日に読んだ部分をつらつら考え、早く次を読み進めたくて夜が待ち遠しいくらいの日々だった。 縦横無尽で深い関係者への取材、膨大かつ横断的な資料文献の総括が、フラットで謙虚な眼差しに貫かれて人間の真実が浮かび上がっている。 人間の業の切なさに満ちた、ドラマチックな人間の物語の集積でもあり、読みながら何度も涙した。 この世の仕組みそのものに言及している。その普遍性に、何度も唸らされた。 この本…