グノーシス研究拾遺: ナグ・ハマディ文書からヨナスまで 作者:大貫隆 ヨベル Amazon 大貫隆「ストアの情念論とグノーシス:ヨハネのアポクリュフォン§51-54 (NHC II)における反ストア的編集について」大貫隆『グノーシス研究拾遺:ナグ・ハマディ文書からヨナスまで』ヨベル、2023年、191–234ページ。 文献学の精髄のような見事な論文を読む。 4つある『ヨハネのアポクリュフォン』の写本のうちの一つ(NHC II, 1)に、その写本にだけ挿入された部分がある(「大挿入」と呼ぶ)。そこにはストア派の様々な理論、とりわけ情念論を悪霊論に読みかえて貶めていく箇所がある。その中に、悪霊から…