知人行きつけのとんかつ屋でヒレ海老を食べながら、135年前、中央区の日本橋人形町にあった「大坂すし」について話していた。すると、昔の東京に詳しい大将が話しかけてきた。 「聞いていて思ったんですが、あの辺りには堺町とか大阪町とか大阪にちなんだ地名がありました。それが関係しているんじゃないですか」。 確かに界隈の地図を見ると、堺町や元大坂町がある。移転する前の吉原があった場所は元吉原と呼ばれ、跡地には謡曲から取った高砂町、住吉町、難波町がある。本を正せば、その謡曲に出てくる高砂や住吉は兵庫の地名、難波は大阪の地名だ。 現在の日本橋人形町辺りには、元大坂町、堺町、難波町などがあった 家康は秀吉の命令…