《ドイツがソ連に進攻するバルバロッサ作戦を開始した後に開かれた大本営政府連絡会議では…日ソ不可侵条約を自ら決めてきたばかりの松岡外務大臣が、その舌の根も乾かないうちに「直ちにソ連を攻撃せよ」と言って周囲を驚かせ、反発も受けましたが、構わず松岡は会議のたびに主張し続けました。 同時に、これをチャンスとみた軍部も、「北の脅威がなくなったのだから、今こそ南へ進出しょう」と盛んに唱えだします》(半藤一利『昭和史』(平凡社)、p. 343) が、この「南進論」は、「ゾルゲ事件」首謀者の一人で正真正銘のコミンテルンのスパイ・尾崎秀実(ほつみ)の理屈そのままである。 《ソ連は日本と戦う考えはもっていない。か…