戦前のジャーナリスト。スパイ。第五列の典型とされる。 朝日新聞の記者であったが、上海支局勤務中に中国共産党と接近しリヒャルト・ゾルゲと出会いスパイ活動を開始。帰国後近衛文麿のブレーンとなり、、蒋介石の国民政府との講和に反対し、日中戦争の長期戦を主張した。その後満鉄調査部の嘱託となったが、ゾルゲ事件に連座し逮捕され、1944年に治安維持法違反等で処刑された。
→第五列
新書725ゾルゲ事件 (平凡社新書 725) 作者:加藤 哲郎 平凡社 Amazon 1941年9月から翌年4月にかけて、ソ連に対する機密情報漏洩の疑いで合計35人(うち外国人4名)が検挙された。いわゆるゾルゲ事件である。この事件でリヒャルト・ゾルゲと尾崎秀美(ほつみ)の2人が、1944年11月7日、死刑に処せられた。 「ゾルゲ事件」(加藤哲郎/平凡社新書)によれば、ゾルゲは1895年、ドイツ人の父親とロシア人の母親の間にアゼルバイジャンのバクーで生まれ、3歳のときベルリンに移った。国籍はドイツである。第1次大戦でドイツ軍に志願して重傷を負った。ベルリン大学とキール大学で労働問題とマルクス主義…
東京都立多磨霊園(府中市)には、歴史の教科書やテレビ番組に出てきた有名な人がおおぜい眠っています。 それぞれの方がどのような生き方をされたのか、リアルに感じたくなって「お墓」を訪ね、いろいろ調べてみました。 まずは、ゾルゲ。 もくじ 「ゾルゲ」って何者? 日本でスパイ活動をした スパイ・ゾルゲの2つの功績 「墓」が日本にあるわけは? なぜ多磨霊園にゾルゲのお墓が? ゾルゲはいま、ロシアの英雄!? ロシア大使館がゾルゲの墓を管理 あのプーチンがゾルゲにあこがれた! 参考 「ゾルゲ」って何者? (ウィキペディアから引用) 「ゾルゲ」は旧ソ連のスパイです。 昔、日本軍が中国の東北部で満州事変(193…
《吾々のグルーブの目的任務は、特にゾルゲから聞いた訳ではありませぬが、私の理解するところでは広義にはコミンテルンの目指す世界共産主義革命遂行の為、日本に於ける革命情勢の進展と、之に対する反革命の勢力関係の現実を正確に把握し得る種類の情報、並(ならび)に之に関する正確なる意見をモスコーに諜報(ちょうほう)することにあり、狭義には世界共産主義革命遂行上当面最も重要にして其の支柱たるソ聯(れん)を日本帝国主義より防衛する為、日本の国内情勢殊(こと)に政治経済外交軍事等の諸情勢を正確且(か)つ迅速に報道し、且つ意見を申(もうし)送つてソ聯防衛の資料たらしめるに在るのであります。 従つて此の目的の為には…
尾崎秀実は、逮捕後の訊問(じんもん)に、次のように答えている。 《日本は終局に於て英米との全面的衝突に立到(たちいた)ることは不可避であらうことを夙(つと)に予想し得たのであります》(『現代史資料(2) ゾルゲ事件(2)』(みすず書房):5 検事訊問調書:第20回訊問調書、p. 203) 日本と英米が全面衝突するのが不可避であるというよりも、世界に共産主義革命を起こすために、何としても日本と英米を前面衝突させようという魂胆である。 《勿論日本は其の際枢軸(すうじく)側の一員として立つことも既定の事実でありました。此の場合日本の勝敗は単に日本対英米の勝敗によつて決するのではなく、枢軸全体として決…
尾崎秀実(おざき・ほつみ)は、如何なる思想の持主であったか。 《近来私の世界状勢判断の中心点をなして来たものは第2次世界戦争が不可避であるという点でありました》(『尾崎秀実集 第4巻』(勁草書房):上申書(1)、p. 297) このように尾崎が考えるのは、多分にマルクス思想の影響がある。が、これは、資本主義の矛盾を戦争によって解消せんがために第2次大戦となるのは自然避けられないというよりも、第2次大戦を引き起こすことで資本主義社会を意図的に終わらせようするものであった。 《列強の盲目的な帝国主義角逐(かくちく)はその矛盾を結局大規模な戦争によって解決せんと試みざるを得ないであろう。しかもそれは…
自由には秩序がなければ成立しない。 《せいぜい、鬘(かつら)師か風呂屋なら、誰がなろうと客にとって大きな支障はないだろう。しかし、薬剤師や医者はどうだろう。もししかるべき大学を出る必要がなくなったら、患者はやぶ医者や偽医者の思いのままになってしまうだろう。でもそれが何だと言うのだ。平等とは資格とかエリートとかを廃止することではないのだろうか。国民公会は首尾一貫した態度をとり、医学部は無用だとしてこれを閉鎖した。 革命家の新聞は、職業の自由を熱烈に歓迎した。しかしながらマラは、その『人民の友』(ラミ・ヂユ・プープル)紙において、危険を予見した。「各人が、その能力を試験されることなしに、勝手に職業…
ロシアがウクライナに攻め込んでプーチンの評価はガタ落ち、ロシア国内でも反戦デモが起きている。この本は今から80年前に起きた日本とソ連間のスパイ活動に関するドキュメントですが、もし、中学、高校の教科書に載っていないのなら60歳以下の人はほとんど知らないのではと思います。 ゾルゲ事件に関する本をたくさんあるが、生硬な調査報告みたいな内容のものが多くて手に取りにくかった。本書は、内容も表現もそこそこ柔らかく咀嚼されたもので普通に読める。むろん、陰険な話であることは同じなのですが。 法制度が整った明治以後、スパイ罪(国防保安法違反、軍機保護法違反、治安維持法違反)で起訴、処刑された民間人はこの尾崎秀実…
尾崎秀実(1901‐1944) 木下順二の代表作のひとつ、戯曲『オットーと呼ばれる日本人』は実話をもとにした現代歴史劇だ。軍国日本を弱体化させるべく尽力した、コミンテルン(国際共産党)指導のスパイ事件、世に云うゾルゲ事件を題材にしている。キーパーソンがリヒャルト・ゾルゲという男なので、事件はそう称ばれている。 日本側のキーパーソンは、暗号名オットーこと尾崎秀実(ほつみ)だ。東京に生れたが生後わずか数か月にして、ジャーナリストだった父が台湾の新聞社へ赴任するのに伴われ、台湾で育った。多くの差別実態を眼にしつゝ育ったという。 旧制一高から東京帝大法学部へ。そのころ(大正時代の末)最初の共産党員一斉…
1920年(大正9年)レーニンはモスクワ共産党細胞書記長会議で次のように述べた。 《全世界における社会主義の終局的勝利に至るまでの間、長期間にわたってわれわれの基本的原則となるべき規則がある。その規則とは、資本主義国家間の矛盾対立を利用して、これらの諸国を互にかみ合すことである。われわれが全世界を征服せず、かつ資本主義諸国よりも劣勢である間は、帝国主義国家間の矛盾対立を巧妙に利用するという規則を厳守しなければならぬ。現在われわれは敵国に包囲されている。もし敵国を打倒することができないとすれば、敵国が相互にかみ合うよう自分の力を巧妙に配置しなければならない。そして、われわれが資本主義諸国を打倒し…