先輩がご他界なされた。 おりしも鼻風邪と花粉被害とでしごく見苦しい姿でいた時期だったし、内輪のご家族葬をしめやかに無宗教にてなされるとも伺ったから、ご焼香の列に連なるのはご遠慮して、供花だけをお送りさせていただいた。にもかかわらず奥さまからは、ご丁寧なご書状に添えて、お志の品まで頂戴してしまった。 一年坊主だったとき、先輩は四年生だった。大学公認の老舗文学サークルの一員だった先輩だが、大所帯から枝分れして小サークルをみずから主宰された。そこに所属した学友から誘われて、私も出入りするようになった。小説を書いてみようかと企てる一年生と二年生とが、十人ばかり寄合っていた。習作を回覧しては、喫茶店に集…