1947年、東京に生まれる。ノンフィクションライター。デビュー作は自衛隊に勤めるひとびとを取材した「防人のブルース」。従来の講談的な文体を排したドライな文体が、おもに若い読者の支持を集める。とりわけユーラシア大陸を放浪した旅行記『深夜特急』は、いまでも多くのバックパッカーに影響を与え続けている。さまざまなジャンルの作品を手掛けているが、寄せ集め的なコラム集を除けば、スポーツ関係の著作が目立つ。さらに最近では、小説的な手法を取り入れようとしている。 amazon:沢木耕太郎
今日のひとつ 東京ジャーミィに立ち寄った。 トルコに行ったのは、15年前。 ちょうどラマダン中で、それが終わる夕方 歓喜のあまり、きゅうりを持って 走り回っていた少年。 活気のある市場。 美しく、厳粛なモスク。 お決まりの絨毯屋。 たくさんの気球。 不思議な岩たち。 隠れ家の協会。 料理も美味しかったし ヨーロッパとアジアの交差点と 言われるだけあって、馴染みやすい国だった。さて、青。 トルコと言えば、青。 モスクのタイルにも多く使われているし ナザールボンジュウという 青い目玉親父みたいなお守りも有名だ。 そもそもトルコブルーという言葉が あるくらいだものね。東京ジャーミィも、もちろん青が美…
スポーツを題材にした本はたくさんあります そして、結構心に残る名作ぞろいです 今回は少しテイストを変えて、沢木耕太郎のルポ「敗れざる者たち」になります 沢木耕太郎といえば、いわずもがな深夜特急が有名ですが、こちらの本も派手さこそないもののボディーブローのように地味に効いてきます スポーツにおいて全勝し続けられる人はいません。必ずどんなスーパースターでも敗北する日がやってきます。しかしながら、この本のとりあげる敗れざる者は、最後まで自分が敗北することを素直に受け入れられない人たちです。 私たちはいつもスポーツの光の部分だけを見て熱狂に酔いしれますが、本来光の部分よりも影の部分の面積の方が圧倒的に…
はじめに 沢木耕太郎による、ノンフィクションについての技術論とも言えるエッセイです。タイトル通りに教科書として、沢木さんが読んだ本が紹介されています。 沢木さんのエッセイには、技術論が書かれているものがいくつかあるのですが、その中の一編になります。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 自分の興味、思考の方向性、感じ方をしっかりと知ること 結論を導き出すことに重点を置かないこと 生き生きとした表現 印象に残った文章 おわりに 全体の感想 ストレートにノンフィクションを書く際の技術論が書かれてます。沢木さんの技術論を読めるということで、非常に貴重なのではないかと思います。 以下では、…
全文会話という、ノンフィクション記述スタイル。沢木さんの挑戦でもあったようです。 宇多田ヒカルの母、藤圭子へのインタビュー。1979年、ホテルニューオータニ24階のバーで行われます。絶頂期にある、歌手藤圭子が電撃引退発表をした。なぜ、引退を決めたのか?2人だけで、バーで会話しながら藤圭子の思いを探る。 流星ひとつ (新潮文庫) 作者:耕太郎, 沢木 新潮社 Amazon 私は藤圭子を全く知りません。宇多田ヒカルはほぼ同年代であり、学生時代はよく聴きました。うちの母親が「お母さんの藤圭子に声がそっくりだわ」と言っていたことを思い出します。うちの母親世代には藤圭子は時代の寵児だったのでしょう。 宇…
沢木耕太郎さんの1996年のオリンピック・レポート。1996年はアメリカ・アトランタで開催され近代オリンピックが始まってから100年目でした。 オリンピア1996 冠〈廃墟の光〉 (新潮文庫) 作者:沢木 耕太郎 新潮社 Amazon 100年目という事で、発祥の地のギリシア・アテネと開催地をかけ争いました。しかし、グローバル巨大資本を携えたスポンサーとテレビ局には勝てず、アトランタで開催となったようです。沢木さんはこの開催地決定の過程に、今後のオリンピックは滅びの道を歩むであろうと感じます。飲み物はコカ・コーラしか出てこず、頑なに飲みません。 本書は、ギリシア・オリンピアへの旅から始まります…
※父との思いでかな(笑) 新聞を読みながら食事をする父が嫌いだった。 話しかけてはいけない気がして。 黙って食事をすることが苦手だった。 母さんに「魚の骨をとって」って言いたくても 声に出すことはなかった。 父が読んでいた経済新聞。 父が亡くなった今、 私が新聞を片手に 食事をするようになった。 嫌なところが似たな(笑) 沢木幸太郎の深夜特急。 経済新聞に連載されていたが、新聞の深夜特急は読んだことがない。 分厚い単行本になったのを読んだ。 父ちゃんが言ってた 「お前が男だったら、シルクロードの旅に出したい」 「お前が男だったら、深夜特急と同じ事をやらせたい」 いつも「お前が男だったら」って言…
沢木耕太郎さんの作品から私の中で印象に残っている5冊を箇条書きで紹介したいと思います。どれも読みごたえのある本ですので、ぜひ読んでみてほしいです。 目次 目次 作品5選 一瞬の夏 深夜特急 人の砂漠 敗れざる者たち テロルの決算 おわりに 作品5選 一瞬の夏 ノンフィクションですが、長編小説のようです。 一気に読みたい作品です。 沢木さん自身が主人公のノンフィクション作品だと個人的にはとらえています。 文章のスタイルについては分析はできないのですが、沢木さんの感じた空気がストレートに伝わるように書かれているんだと思います。 登場人物の重厚な迫力に圧倒されました。 最後の最後まで、夢中になって読…
はじめに 「奇妙なワシ」というエッセイの後日譚になる一遍です。エッセイが連なるように書かれていることが時々あると思うのですが、続きを読む楽しさも独特なものです。 語り口が軽妙で、日記のような雰囲気です。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 日記 言葉の選び方 軽妙 印象に残った文章 おわりに 全体の感想 まずは、インパクトのあるタイトルが忘れられないですね。読む前は、奇妙なワシとは何か、と気になりました。自分を指す時に、1人称の「ワシ」という言葉を使うかどうかということが書かれているんですが、確かにそうだな、と思える内容になっていると思います。 日記のような書かれ方で、一緒にお酒…
はじめに 1975年、元ボクサーの輪島功一さんが当時のWBAジュニアミドル級世界チャンピオン、柳済斗さんと戦ったタイトルマッチについて取材されたノンフィクション作品です。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 減量 プロ したたかさ 印象に残った文章 おわりに 全体の感想 クライマックスがとにかくいいんです。試合に向かっていく輪島さんの姿とともに、本音が垣間見れるんですね。裏側にあった要素が沢木さんの目を通して、描写されます。解釈は人それぞれだと思いますが、決して陽気なものばかりではありません。最後の場面では、それまで描写されていたものを打ち消すようもの、勝ったという事実があったこ…
はじめに 沢木耕太郎さんが、柴田錬三郎さんについて書かれた一遍になります。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 対談 降りて、降りない 時代小説 印象に残った文章 おわりに 全体の感想 文章の始まり方がとても自然で、流れるように主題に入っていくんですね。マクラにあたる部分も印象的です。すっとテーマに入っていって、すとんと着地する感じの一遍でした。 キーワード3選 対談 マクラはある対談での挿話になっています。このお話自体が魅力のあるものになっていると思いました。登場する人物、本、できごと、全てが想像の範疇の外にあるような話です。 降りて、降りない 本編の最も重要な言葉ではないかと…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。(書評の内容については各誌をご覧ください。) 今週の書評本 ◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数タイトル 著者 出版社 税込価格 書評掲載回数(2回以上のもの) ◆週刊朝日「週刊図書館」: 5/27 号 6 冊 古本食堂 原田ひ香 角川春樹事務所 1,760 ③喜べ、幸いなる魂よ 佐藤亜紀 KADOKAWA 2,090 ④名著の話 僕とカフカのひきこもり 伊集院光 KADOKAWA 1,650 ③現代思想入門 千葉雅也 講談社現代新書 990 ④妻はサバイバー 永田豊隆 朝日新聞出版 1,540 ②東大女子という生き方 秋山千…
最近、どうも文章を書く気になれなくて放置してしまったこのブログでござる。 実は、noteたるものを始めてしまったため、そっちの方で書いているのだが、どうしてもパブリック的なことばかり書いてしまっている。 エッセイ未満の散文をここで吐き出すための逃げ場となっている。ここは。 というわけで、最近はどう過ごしているのかをつーらつらと書いて生きたいく存じます。 「待つ」修行、ネイルを始める 5月、GWが明けたら動き出そうと思っていたのよ。けれど、体が鉛の如く動かないのです。その代わり、始めたのがネイルだ。 あれ、せっかちな自分にとって、初めは戸惑うことばかりだった。 一向に乾かない。とくに単色ネイルを…
沢木耕太郎は「路上の視野」と「象が空 を」をいう分厚い全エッセイ集という形 で出されてきたのに、その後出されてな いのでどうしたのかと思っていたら「銀 河を渡る」と「作家との遭遇」という分 厚くない2冊同時発行という形で上梓さ れた。そのうち「銀河を渡る」は単行本 で購入し、「作家との遭遇」は作家論な のでどうするかなと思っていたらようや く文庫化されたので購入して読んだ。 以前にも書いたことがあるが、沢木の文 章、文体に馴染まなくなっている自分が いて、そうなんだとか納得したとか面白 かったというストレートな感想がないと いうのが正直な感想です。でも山本周五 郎と近藤紘一についての文章は興味…
著者 あさのあつこ いしいしんじ 小川糸さん 小池真理子 沢木耕太郎 重松清 髙田郁 山内マリコ 寝る前の10分で1つのお話が読める。 サクッと読める。 短いがゆえなのか、ストーリーのその後を思い浮かべたり余韻に浸ったりをそこまでせず眠りにつける。 個人差はあるだろうが、私はそう。実はコレは第三弾!小川糸さんとあさのあつこさんの文章が好きだったこともあって、この一冊を選んだのです。第一弾と第二弾はまだ未読。どこからでも読めるのも短編のいい所です。1日10分のぜいたく NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫) [ あさの あつこ ]価格:616円(税込、送料無料) (2022/5/13時点…
●概要 ●ミュージシャン等17名 ●漫画家58名 ●ゲームクリエイター14名 ●小説家 等66名 ●哲学者1名 ●ファッションデザイナー3名 ●写真家2名 ●映画サイト運営者 ●概要 現在156名分のリストを掲載。 このコーナーは「映画人のオールタイムベスト(個別)」に掲載した以外の漫画家、アニメーター、ゲーム開発、シンガー、作曲家、小説家、その他クリエイターが影響を受けた映画のリストをまとめた掲載先のリンク集です。 ・●●●●●・ ・●●●●・ ・●●●●・ ・●●●●・ ※数字をいじるとリンクが機能しなくなるので注意 ●シンガー、ミュージシャン等9名 ・マイケル・ジャクソン・ ・マドン…
書誌情報:公益財団法人地域開発研究所,318頁,本体価格4,500円,2022年1月17日発行土地が哭いている 農地改革と農地法八十条作者:戸塚 喜久公益財団法人地域開発研究所Amazon 戦前期の天皇制国家を支えた地主制度を改革する役割を担った農地改革は,たしかに在村・不在地主から農ちっが買収され,新たに小作人に売り渡され,戦後の自作農創出に貢献した。他方,林野が対象外であり,自作も「零細地片」に止まった限界もあった。 本書は,被買収者である地主から買収し,買受人である小作人に売り渡すために農地改革の実務を担った市町村役場,税務署,登記所,当道府県知事,都道府県農地委員会,市町村農地委員会の…
「深夜特急」の第二巻、 マレー半島・シンガポール編を 途中まで読んだ僕は、宿から外に出る事にした。 まだ上級旅行者ではない僕は、よく考えるとこの街をまだよく知らない。 何度もバンコクに来ている彼女とは違い、タイ初心者の僕は、まだまだ部屋でゆったりしている場合では無いと 気付いたのである 笑 だが、久しぶりに 読書をした。良い時間だった。 「深夜特急」は やはり名作だった。 旅に出る前は、ドキドキしながら、憧れながら、自分が沢木氏と旅をしている様な、いや、沢木氏になりきって旅をしている感覚を味わっていた。 こんな感覚を感じさせてくれる程の「引力」を持っている小説は、稀である。 他にこの感覚を味わ…
朝からいい天気。昼間は初夏の爽やかな日和だったが、日がかげってくるとうっすら寒くなる。5月の連休って、こんな感じの陽気だったよね、かつては。 [蒐書] 『三茶日記』でまたもや! 寝る前にお布団の中で読んでいる『三茶日記』。またもや気になる本が…。新潮社の川端康成全集第二十九巻所収の「芥川龍之介氏と吉原」。それから林えり子『福澤諭吉を描いた絵師』(慶應大学出版会)。そして、完全に見落としていた!!嵐山光三郎『文人悪食』(新潮文庫)の解説がツボちゃんだったとは…。積読の山のどこかにあるはずなので、早速発掘しなくては! それにしても、昨日「銀座百点」で嵐山さんの対談を読んだばかりで、またもや芋づるの…
いくつになっても旅はできる。しかし、旅にはその年齢にふさわしいというのがあるのかもしれない。その年齢でなければできない旅が…… これは数々の旅人を生み出した名作「深夜特急」の作者、沢木耕太郎の言葉である。 沢木耕太郎によれば、経験と未経験がいいバランスである26歳は、旅の適齢期なのではないかということらしい。私が26歳適齢期を知ったのは25歳の時だった。元々旅に憧れていた私は、26歳になったら旅立とうとその時決心したのだ。そしてその日がついにやってきたのだ。 5月1日、日本一周のスタート日が!!!! いやーはじまりました。日本一周。 いきなりですが自己紹介させていただきます。 おでんちゃんと申…
現在2022年5月1日17時46分である。(この投稿は、ほぼ3911文字)麻友「駆け落ちのシミュレート、久し振りね」私「前回は、麻友さんのお誕生日より前だ」麻友「あの、障害年金の、恐ろしい話は、書き始めた最初から、頭にあったの?」私「ずっと気になっていたことだけど、あの投稿で書こうとは、思ってなかった。ただ、『現金(げんなま)をねらえ』のことを、書いているうちに、会社の運動会へ連れて行って下さった、あの息子さんのお父様のことを、思い出し、書かずにいられなかったんだ」麻友「太郎さんは、自分が、ありとキリギリスの、ありだと思う?」私「恵まれてたからね。物心つく前から、ヴァイオリンと水泳。父は、どこ…
良し悪しは別で言うが、アメリカ人は車を馬車の延長線上で利用してきたように思う。したがって、ときにはオーバーなデコレーションが流行ったことがあったにしても、基本的にはきわめてシンプルな機能を求めた。ところが、日本車はエレクトロニクスという名の過剰な ”便利さ” を追求して、車を走る機能とは別のなにものかに仕立て上げたのだ。あたかも鏡台や箪笥やこけし人形やら折り紙やら、狭い部屋一杯に詰まった娼婦の部屋のように。小型車なのにパワーウィンドウでCDコンポつきカーステ、サイドミラーだって電動式。消費者のニーズといえば聞こえはよいが、この過剰さの中にこそ霊柩車をつくったものと共通の心性が潜んでいる。(猪瀬…
節酒4年目 day287 禁酒155日目 5時起き 節酒4年目の記録 (目標は10日) 飲酒日 4日 ( 7月2回 8月1回 9月0回 10月0回 11月1回 12月0回 1月0回 2月0回 3月0回 4月0回) 禁酒日 283日 5時起き。からの日課。英語。 本当はこの後10キロのランに行きたいと思ったが、午後は予定があるし、今週は本当に疲れた。だから体を休めることに。残念だが。4月もあと9日だとおもって、なんとか頑張ろう。 その分散歩30分と、サウナ的に風呂に入り30分。昨日は週末掃除もやったし、まあ運動度してはこれで十分。90年代ヒットメドレーを風呂でかけていて、チェリーやらマリオネット…
沢木耕太郎 ロング・インタビューで素顔に迫る×日垣隆 作者:日垣 隆 「ガッキィファイター」編集室 Amazon 昨日紹介した『脳卒中からの帰還』をAmazonのKindleストアで購入した際に、一覧に並んでいたのを見て、速攻購入してしまいました… 紙媒体に換算するとわずか30ページ程度のモノで450円ということで、多少のグチも無くはないのですが、あの日垣さんが沢木さんに迫るという期待に抗うことができませんでした。 このインタビューがあったのが2013年で、『檀 (新潮文庫)』を脱稿された時期だったということなのですが、テーマとしては沢木さんのキャリアや著作へのアプローチなど、ボリュームの割に…
アカネテンリュウが引退した1972年。その年の菊花賞は強烈な印象がある。 下馬評は関西三強、とくに貴公子タイテエムが勝つだろうと思われていた。返し馬で尻っぱねしながら大暴れしている馬がいる。発走直前に落鉄しやがった! 蹄鉄を打ち直す事態になった。 こいつは絶対、野獣ブルート・バーナードだな(当時、T・J・シンは未来日)と思いましたね。 淀の3000という長丁場、あんなにかかっちゃって大丈夫か? おい! 鞍上もこいつは制御出来ないんじゃないか? 走る前に疲れちまうよ。 レースでは、予想通りタイテエムが抜け出してきた。 そこへ後方から狂ったようにすっ飛んで来る馬がいる。 あの馬だ!あの暴れ馬がきや…