給料で本を買えるようになった頃、はまった作家の一人がモリエールだった。このフランス人劇作家を知っていたわけではなく、安い文庫本をさがす過程で存在を知ったのだ。モリエールの本はどれも文庫で200円~300円台だったと記憶する。読んでみたら、話が滑稽だし、かつ風刺がきいていて、初演が17世紀の作品ばかりなのに20世紀の人間にもとても面白かった。なにせ短いので当時岩波文庫から出ていたタイトルはほぼすべて読了した。 なぜ「ほぼ」かというと、この「孤客」を読み残していたから。恥ずかしい話だが、副題の「ミザントロオプ」=「人間嫌い」と知らずに購入し、その前に新潮文庫の「人間ぎらい」(内藤濯訳)は読んでいた…