パリに終わりはこない作者:ビラ=マタス,エンリーケ河出書房新社Amazon 人はなぜ街に来るのか。また、人はなぜ街を去るのか。街は古今東西、人々が往来し、際会する場所であり続けた。数多あまたの世界都市の中でも、パリはひと際、その役割が顕著だった。この共和国の都は、世界の中心であると同時に、世界そのものであった。田舎からパリに出ることは、世界に出ることを意味した。 エンリーケ・ビラ・マタスも、その一人である。彼は1974年、文学修業のために、故郷のスペイン・バルセロナを出て、この世界の首都にやってきた。彼はそこでマルグリッド・デュラスのアパートに起居しながら、人々(特に文学、芸術を生業にする人々…