小学校の通信簿に「先生から保護者への連絡」という欄があって、たいていの場合は「おしゃべりで落着きのない生徒」と書かれた。内申書なるものをそっと開けて覗いてみたら「明朗活発で友達が多い」と書かれてあった。ものは云いようだ。 三者面談の席で「得意科目は?」と問われたから、「算数ッ」と胸を張って答えた。が、先生は「君はやっぱり国語よねえ」とおっしゃった。自己評価なんぞ当てにならぬもんだ。 喋り言葉と書き言葉とは異なるということを、わりに幼いころから感じていた気がする。本気で考えたのは、むろんだいぶ長じてからのことだが。 もっとも愛読し、影響を受け、尊敬した劇作家はとなれば、文句なく木下順二だ。シェイ…