秩父大田を歩いて、ふと立ち止まる。鼻を衝く土の香り、 紅葉の破風山を背景に、流れる雲の青い影に染められたススキ(薄)に魅了されたからだ。 私は素足で土を体感したかったので靴を脱いだ。 むあっと萌出(もえいで)るような、 生きた 大地の 呼吸と共に、私も息がしたかったのだ。 その体感を何とか表現したかったので、 行きついた紙が、坂本直(紙舗 直)さんが、 ネパール産のロクタというミツマタ科の繊維から作った「ロクタ紙」だった。 叩きこむようにしないと筆が進まず、色も伸びない。 ファンデーション(下塗り)をして墨やあらゆる挑戦をした。 吉祥寺ギャラリーで初展示した際、 白いススキを青で描いちゃダメで…