車の後部座席で、昔あったような分厚いパソコンを開き、新着履歴に入っていた自分達の話し声の録音を聞いている。明日の集合場所についての連絡を待っているが、未だ音沙汰ない。 中学時代の生物部の顧問だった先生の家に着いた。車を降り、入り口の前に立った。昔、駅の壁に掛けられていたという小さな伝言板や、昭和のレトロな看板が壁にいくつか掛けられている。 中に入ると、魚市場のような薄暗い地下室で、たくさんの人がひしめき合っていた。スリを警戒しながら歩くので、はたから見ると怪しい動きになっているように感じる。向かいから来る子どもたちが、コロナ対策のため、両手をまっすぐ上に伸ばして、「ワニのポーズ」をとりながら横…