「食べ物を扱った作品」の第二弾は、原宏一『ヴルスト!ヴルスト!ヴルスト!』(光文社文庫、2016年)です。還暦目前のオヤジと中途半端な生き方を変えようとする青年がヴルスト(ソーセージ)作りに精魂を傾ける姿を描いています。 [おもしろさ] ヴルスト作りのむずかしさとおもしろさ 本書の魅力は、オヤジと青年、それぞれの成長物語を楽しみながら、ヴルストの作り方や種類(ウインナー、フランクフルト、ボロニアソーセージ)、日本でのソーセージ作りの歴史など、ヴルストに関する多くの情報を学んでいける点です。塩漬け肉を挽いて腸詰めし、熱を入れるとヴルストができます。しかし、良い商品を作るためには、肉の種類から塩の…