日本史学者、東京大学准教授。1973年埼玉県生まれ。1995年日本女子大学文学部史学科卒、2003年東京大学大学院人文社会系研究科日本史学博士課程単位取得退学。2005年立命館大学文学部任期制講師、2008年准教授、2016年東京大学人文社会系研究科准教授。2006年「中世京都の寺社勢力と室町幕府」で文学博士。
1994年に「古都京都の文化財」が世界遺産に登録されました。千年以上にわたり日本の首都として栄えた日本文化の中心地であったことが、世界遺産登録の理由です。この時に登録された文化財の多くは京都市内にあるのですが、平等院と宇治上神社だけは宇治市にあります。京都は洛中と呼ばれていましたが、現在の京都市全部が洛中だったのではありません。京都市内でも、中心部の狭い区域だけが洛中と呼ばれ、そこを外れると洛外とされていました。宇治市は、洛外も洛外、京都市の南隣にあります。しかしながら、宇治市は、京都市よりも古都の雰囲気を今によく伝えています。
2016年発表の本書は、3人の歴史学者(*1)による京都の歴史探訪で、15の道を紹介している。ガイドブックにある「○○は何年に建立されました」的な紹介と、歴史書にある「このような時代で、××のために必要だった」的な解説を融合した書である。ある種の道やエリアを15取り上げていて、まるでタイムマシンでそれらを体験しているようだ。15の「道」とは、 1)室町と山鉾の道~町衆と図子 2)開化と繁華の道~新京極と祇園 3)清水坂の歴史と景観 4)キリシタンの道 5)鴨東開発の舞台~岡崎周辺 6)大礼の道~皇居から京都御苑へ 7)「日本国王」の道~北野と北山を歩く 8)災害の痕跡を歩く~鴨川流域をたどる …
遊客の立場から意見を述べている近松秋江ですが、もう少し広く遊廓経営、島原の発展という観点から考えてみると、加藤藤吉『日本花街志』(昭和31年)には「明治以後取締となつた角屋の主人十一代目中川徳右衛門氏は、発展策の一助にと廓の西南の隅にあつた、揚屋の藤屋と称した家の廃絶した跡を買い取つて、山陰線の工事に着手した京都鉄道に寄附した。丹波口駅を設け遊客吸引に交通の便を図つた」、また「十二代目は明治八年に生れ、大正時代は京都府会や市会の名誉職を勤め遊廓の維持に貢献した人で、夫人は大阪新町の吉田屋から嫁いでいる。」とあります こうした地域社会に尽力してきた角屋の主人達の功績も評価されなくてはならないでし…
皆様初めまして、立命館大学文学部地理学専攻の中塚と申します。 2023年度の西之京瑞饋神輿保存会インターンシップの活動が始まりましたので、本日より今年の活動を当ブログで随時発信していきます。 本日の内容は、三枝暁子先生によるレクチャーと千日紅摘みです。 9月1日の午前中に、三枝暁子先生による特別レクチャーを立命館大学京都学クロスメジャー共同研究室で受講しました。三枝先生は長年西之京瑞饋神輿保存会の活動に携わってこられました。瑞饋祭の歴史、瑞饋神輿の構造、そして当インターンシップでの学びについて教えて頂きました。また、神輿の装飾の多くが農作物などから作られていることに大変驚きました。「五穀豊穣へ…
皆様初めまして。立命館大学文学部教員の松尾卓磨と申します。平素より「ずいき日和」をご覧頂き誠にありがとうございます。 本日より約1か月間、インターンシップ型の実習授業として夏集中科目「人文学特別研修」を実施します。本学の教員と学生が長年お世話になっている西之京瑞饋神輿保存会の皆様よりお力添えを賜り、西之京瑞饋神輿の製作から巡行までの体験を通じて地域の伝統行事について学びます。 今年度はわたくし松尾が授業を担当し、同じ文学部京都学クロスメジャー教員の田中聡先生、西之京瑞饋神輿について研究を続けてこられた東京大学の三枝暁子先生にサポート役として授業をバックアップして頂きます。 この「ずいき日和」で…
井上章一『京都ぎらい 官能篇』(平成29年)では、林屋辰三郎『京都』(昭和37年)にある「角屋の建築意匠が桂離宮のそれに類似する。」という記述に注目し、「林屋は角屋と桂離宮を、こう見くらべた。『一方は遊廓、一方は宮内庁の管轄』、と。そう、林屋は角屋の遺構を、遊廓施設としてとりあげたのである。こういう分類を、今の角屋=『もてなしの文化美術館』は、うけつけない。同館は、角屋が遊廓であったと言われることを、たいそうきらうようになっている。館内の説明でも、遊廓よばわりを否定することに、力をそそいできた。」と述べられています 細かく指摘すると、角屋は貸座敷免許地を意味する「遊廓」ではなく、島原遊廓の揚屋…
バルコニーがたいへんなことになっている。90平米の部屋に対してその半分ほどもあって、ルーフバルコニーの方はピクニック(?)したり、プールを出したり、こたつに火鉢を出したり(気違い沙汰)して堪能しているが、今回はそちらではない。生き物係からの報告である。 めだか鉢に入れる水草、毎年アナカリスやホテイソウ、フロッグピットでは面白くない。今季はやや値は張るけど侘び草を投入。アクアリウムに興味ない方に注しておきますと、これは数種の水草を寄せ植えした商品で(@AQUA DESIGN AMANO)、ある程度育成されているから育てやすく、土も付いているのでそのまま水槽にほうりこめる。要はチートモードの水草な…
史料編纂所が金曜日に開館していれば出かけようと考えていて、今更ながらになってしまいましたが、このブログでもっともアクセスの多いコンテンツでもあり、転載しておきます。編纂所はいまだ音沙汰なしで、当方は諸事情から見送る公算が高いです。 *************************************** 第14回 中世地下文書研究会のご案内 ※一般公開、参加費無料 ■開催日時 2023年7月15日(土)13時30分~17時50分(13時受付開始)■会場 立教大学 池袋キャンパス 5号館 3階 5301教室 構内案内図 img-campusmap_ike.pdf (rikkyo.ac.jp…
先月読んだ本は以下の通り。 2023.4 ★★『黄金の烏』『空棺の烏』『弥栄の烏』『烏百花 蛍の章』阿部智里 ★★『手のひらの京』綿矢りさ ★★『同志少女よ銃を撃て』逢坂冬馬 ★『旅だから出逢えた言葉Ⅲ』伊集院静 ★『探検家の事情』角幡唯介 ★『かなえられない恋のために』山本文緒 ★『歴史とは靴である』磯田道史 ●『京都の歴史を歩く』小林丈広 高木博志 三枝暁子 〔コミックス〕(※は再読以上) ★『税金で買った本』ずいの/糸山冏 ①-④(➂まで※) ★★『異世界おじさん』殆ど死んでいる ①-⑨(⑥まで※) 結果、《今月揺さぶられた本ランキング》は 【小説】①『手のひらの京』綿矢りさ ➁『黄金の…