梅園思想の入門書『多賀墨卿君に答ふる書』 「普通は」、「常識的に考えて」。近年こういう言葉を使う人をよく見かけるようになり怖ろしく感じている。しかし、日本人の「常識」好きは昔からかもしれない。日本人の「常識」好きは数百年来の「伝統」なのだろう。日本人はもう何百年も「常識」という名の狭い世界に跼ってきた。今から300年前、そうした「常識」に囚われることに対し注意を促した思想家がいた。 今年2023年は、大分県国東半島の思想家、三浦梅園の生誕300年の記念すべき年に当たる。 三浦梅園は学生時代に『玄語』を読もうとして難しすぎて頓挫したことがある。しかしもっと平易な本もある。『多賀墨卿君に答ふる書』…