エッセイといえば、伊集院静が好きだった。週刊文春に連載されていた「二日酔い主義」をまとめた文庫本。 一日家に帰らないと言い訳を考え、二日目は怖くて帰れなくなり、三日目には「よし、離婚してやろうじゃないか」と開き直ってとうとう帰るという、どうしようもない生活が淡々と書かれてあったりする。 そうとうの酒飲みで、また競輪が大好きで、そうとうの額を負けていたらしい。 下田治美の「ぼくんち熱血母主家庭」(講談社文庫)、エッセイではないが自伝的小説「愛を乞うひと」(角川文庫)も面白かった。母主家庭とは、母子家庭なのだけど、文字通り母としての主導権を圧倒的に振るい、ひとり息子のリュウ君を育てて行く物語。「愛…