作家 1911(明治44)年、兵庫県生まれ。 姫路中学を中退、大阪に出て、見習いコックなどの職を転々とした後、1928(昭和3)年、宇治川電気鉄道に入社した。 日本共産党の細胞として活動中に、1931(昭和6)年の一斉検挙で逮捕される。 1933(昭和8)年出獄してからは文学、実存哲学に傾倒し、小説を書きはじめる。1947(昭和22)年、「深夜の酒宴」を『展望』に発表して、戦後文学の代表作家となる。 やがてキリスト教に入信、独自の文学を形成した。 1973(昭和48)年3月28日没
台風も去ったことだし、前回の極小場所を早朝チェックに出たら、何と先行者がいる。こんなところにまで、と思ったが自分も同じだった。 結果はボウズ。曇りのためチェイスは確認できず。アタリもなし。風が残っていて条件はよくなかった、ということにしておこう。 午後になって晴れてきたので、磯に出かけてみたところ、これまた先行者がいる。遠目から察するにイカ釣り師である。こちらも別の場所へ入ってイカを狙ってみるも反応はない。 サヨリはちょこちょこ跳ねているものの、前回と違って目視できるほどではなく、試しに広範囲に仕掛けを投げてみるが食わない。流れが速いので、仕掛けをポイントにとどめておけない。とうやら群れを目視…
播磨百人伝 表紙 播磨百人伝 寺林 峻 著 のじぎく文庫 編集 神戸新聞総合出版センター 発行 2001年5月1日 第1刷発行 播磨にゆかりのある百人を、神代・古代・中世・近世・近代から選んでいます。 このブログでは主にヨーロッパ関係のことについてメモっているのですが、今回は特に欧州関係に限定してみます。 幕末の混乱は二つの流れで姫路城下へも及んできた。 一つはロシア、イギリス、アメリカといった国が次々と開国を迫ってやってくる。もう一方では幕府の政治を変えようとして勤王を叫んで立ち上がる志士の波である。この二つの流れに足をかけた姫路の青年がいた。秋元安民である。p206 古市公威、 佐幕派の姫…
1. 読書感想(『50歳からの教養力』) 〇江上剛氏について 1954年、江上剛氏は兵庫県に生まれました。「江上剛」はペンネームです。大学卒業後は第一勧業銀行(現みずほ銀行)に就職し、総会屋事件(1997年)では中心になって事態の収束・改善に努めました。 銀行在職中に『非情銀行』(2002年)で作家デビューを果たし、翌年、49歳で銀行を退職しました。その後、日本振興銀行の経営破綻処理の問題(2010年)に、取締役として取り組みました。 小学生の頃から本を読むことは好きだったようで、父親に頼んで本を買ってきてもらっていました。特に、エドモンド・ヒラリーのエベレスト登頂の物語や、ケネディ大統領の伝…
勇者と言う勿れ 城山三郎『勇者は語らず』 ■城山三郎『勇者は語らず』1982年12月20日・純文学書下ろし特別作品(新潮社)。 ■長篇小説。 ■2022年12月5日読了。 ■採点 ★★☆☆☆。 城山三郎氏 経済小説*[1]、その、言うなれば「創業経営者」たる城山三郎の「純文学」という看板を掲げた、と言うよりも「純文学」*[2]という看板に真っ向から挑んだ、あるいは挑まされた*[3](?)書下ろしの一冊である。 日本の企業には自動車の製作は不可能だと言われた時代から、日米経済摩擦を経て、「敵地」である自動車王国・アメリカでの現地生産に乗り出す、大手自動車会社の重役・冬木とその下請け会社の社長・山…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 野間宏(1915-1991)は、第二次世界大戦争直後の文学における草分けとして、そして第一次戦後派の代表作家として、世に知られています。武田泰淳、埴谷雄高、椎名麟三、梅崎春生などと肩を並べ、戦前から戦後への思想変化や、戦時中の戦地体験、被災体験に影響された価値観で社会を眺めた作品を次々と生み出しました。 日露戦争に勝利したことで得た満州の鉄道は、後の日中関係を歪なものへと導きます。1931年に大日本帝国関東軍が自作自演の鉄道爆破事件(柳条湖事件)を起こしたことを皮切りに、対中国への敵対心を明らかにします。翌年には上海での日中両軍の激しい衝突が…
『つげ義春漫画術』は、つげ氏の全作品をふりかえってのインタビューが中心の本で、索引は特にない。そこで、話題に出た本と著者の名前を、リストアップしてみた。当時つげ氏が読んでいた本、作品のヒントになったり影響を与えたかもしれない本などの一覧ということになる。いくつかを我が家の、(ミニチュアだが)万力のある本棚に並べてみた(★印)。 (つげ義春漫画術 上巻)122p 生きていた幽霊 江戸川乱歩「二銭銅貨」「心理試験」〔『江戸川乱歩傑作選』(新潮文庫)など〕154 ある一夜 手塚治虫『罪と罰』〔『手塚治虫漫画全集』など〕169 太宰治「ダス・ゲマイネ」〔★太宰治『走れメロス』(新潮文庫)など〕(下巻)…
20221015昼〜夜 伊原さんの神話ワークショップが終わり、木嶋さんの本番が近いため木嶋さんと丹澤さんが抜けて、伊原さんとまりさんと南出くんと稲垣の四人で時間あるので戯曲を読む。 「荷物」 作、椎名麟三 を読む。 ・大体の話 日曜日の午後、赤い毛糸を二人で鞠にしている夫婦、一見幸せそうな光景だが、夫は死にたがっている。妻は夫を罵っている。 配達人夫によって荷物が送り返されてくる。 中身はどちらかの浮気でできた子供のホルマリン漬けらしい。 どちらの子かお互いの言い分噛み合わずに夫婦喧嘩はどんどんエスカレート、 俺は焼き芋が好きだ、ホッカホカの焼き芋がなあ。それ以外なんにもいらない、 夫婦なんて…
https://www.youtube.com/watch?v=C9lXJ6xWRwQ&t=175s (16:50~)神的暴力(略)民衆の暴動っていうのは良いか悪いかっていう次元を超えているんですよ。(略)(20:35~)そこ(刑務所)に膨大なお金とか食べ物とか色んな物を送ってくると、送ってくる人達の気持ちっていうのは何だろう、と。それはやっぱり互酬交換の・・を意味してるんじゃないですか?人は儲かることばかり考えてるんですけど、何か人に与えるってことも喜びとしてやってるんですよ。(抜粋) 色々と興味深い内容の動画なのだが、この動画のお話を聞いていて、山上の説教を思い浮かべた。 憐れみ深い人々は…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 文学における第一次戦後派は、戦争時代の体験によって起こった精神変化、情勢変化、生活変化を文学に収め、観念や倫理を社会に映し出そうとした作家たちです。野間宏、武田泰淳、埴谷雄高、梅崎春生などが挙げられ、椎名麟三(1911-1973)も代表者作家のひとりです。彼は貧窮の少年時代を過ごします。ともに愛人を持つ両親は、二人ともが自殺、拠り所を無くした彼は文字通りに世界を失います。生きるために至るところで雑役に就き、命を繋ぐようにして過ごしました。私鉄の車掌となった彼は、カール・マルクスに強く影響を受けて共産党に入党し、労働運動に没入します。世界を失っ…
「天下茶屋」前より。(撮影 丹沢和仁) 河口湖と、向う岸や手前の街まちと、左右から下る稜線とが織りなす逆さ富士が見えるポイントだそうだ。なるほど……。 一別以来の挨拶もそこそこに、まずはまずはとご夫妻の愛車に招じ入れられ、いの一番に向ったのは「天下茶屋」だった。ご存じでしょう? と振られて迂闊にも、咄嗟には思い出せなかった。井伏鱒二、太宰治の名が出て初めて、あゝそれかとうっすら思い当った。しかしこゝからはかなり遠かろう。まさかそんな所までご案内いたゞけるとは、予想外だった。徒歩や公共交通機関しか知らぬ身と、愛車移動のかたがたとでは、とかく空間概念が異なる。 案の定、アルペンの回転スキーさながら…
10月1日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句)野の風に身を任せ生き松虫草 雅舟 【花】マツムシソウ(マツムシソウ科) 【花言葉】風情 健気【短歌】むらさきのマツムシソウは高原の靄に滲んで朝を待ちいる 秋の高原に美しくかれんな花を咲かせるマツムシソウ。その 淡い紫が朝方立ちこめたもやの中ににじんで、水彩画のよう に静かでした。 【季語】 松虫草【俳句】 摘まずおく松虫草は野の花よ 稲畑 汀子 惜しみなく風は野にあり松虫草 福田 和子 松虫草風に紛るる夕べ来し 村井田貞子【三行詩】行脚僧の持つ鐘が「松虫」 それに似た実を持つ秋草 紫の花が高嶺松虫草 【万葉歌】 我がやどの…
椎名麟三は、獄中で「ほんとう」を求めて、徹底して問い直したのだという。その結果、彼の見出したものは政治的信条ではなく、宗教的信仰であった。 目の前にある現実が不十分でいかがわしく、うそうそしいものと見えるとき、人はほんとうのものを求めようとする。信ずべき確実なすがたをもった真実を求めようとするのである。 「ほんとう」に向かおうとする思いは、眼前の現実をこえたイデアへの希求に通じる。すなわち、それは目には見えないものを見ようとする精神の動きであり、つねに現実との離反や齟齬をきたすおそれを秘めているのだ。 イデアとしての「ほんとうの三角形」とは、位置だけがあって面積を持たぬ〈点〉と、位置の移動だけ…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 処女作『風宴』の、青春の無為と高貴さの並存する風景。出世作『桜島』の、極限状況下の青春の精緻な心象風景。そして秀作『日の果て』。『桜島』『日の果て』と照応する毎日出版文化賞受賞の『幻化』。無気味で純粋な〝生〟の旋律を伝える作家・梅崎春生の、戦後日本の文学を代表する作品群。 日本文学における第一次戦後派と呼ばれる作家たちは、戦争体験により影響された哲学や思想、社会性や政治などに対する訴えが込められた文学作品を生み出していきました。野間宏、武田泰淳、椎名麟三、埴谷雄高などと並び、梅崎春生(1915-1965)もその代表作家のひとりです。 彼は第二…
椎名麟三は、僕に新鮮な読書体験を与えてくれる作家だ。古本屋で投げ売りされているような日本文学全集の一巻を初めて読み切ったのは椎名だったし、戦後初期のシミだらけの古本で小説を読んだのも、この本が初めてだった。新刊が流通していないのが原因だが。 表題作を読むのが目的だったが、せっかくなので残りの5つの短編にも目を通してみた。掘り出し物のような作品と出会いたかったが、残念ながら彼の代表作からはだいぶ見劣りがする。ただ、この作品集に何度か登場するちょっと不思議なキャラクターが気になった。 いつもニコニコ笑っていて、周囲にさかわらず現状追随的である。他者にやさしいようでいて、突如エキセントリックなふるま…
敗戦後わずか二年半で出版された古い作品集で、この中編小説を読む。どのページにもシミが広がっているが、紙質が悪くとも製本だけはしっかりしていて、読むことに問題なかった。 僕は本に関しては比較的潔癖で、少しでも汚れた古本を買ったりすることはない。ちょっとした偶然と勢いで手に入れた本なのだが、いざ読むと、紙面から敗戦後の時代が迫ってくるようで不思議な読書体験だった。ただそのために内容が素直に頭に入ってこなかったところがあるかもしれない。 この小説は岡庭昇が激賞していた(文芸誌のアンケートで戦後文学10選にあげていた)ので知っていたのだが、今まで読んだ椎名麟三の作品と比較しても、それほどいいとは思えな…
白々しい楽山2 『死について考える』遠藤周作著 2021年08月18日 楽山日記(LD) http://mn266z.blog.jp/archives/30186597.html を改めて批判。 反省が必要なときに、読書家気取りで、「考える」などと言われても、既に、山積みの問題が、無反省と無責任の楽山を否定するのです。つまり、楽山にとって、読書は、自らの嘘と偽善の罪を隠蔽するのに使われ、結果として、逆に、醜さを倍増してゆきます。 >*気になる本大分前にタイトルにひかれて本書をパラパラめくってみたところ、キューブラー・ロス、死後の世界といった文字が見えたので読むのは止めにしたのだけれども、その後…
①罪多い女 高見順 角川小説新書②五代の民 里見弴 読売新聞社③その日まで 椎名麟三 筑摩書房④戦後の文学 寺田透 河出書房新社⑤すみっこ 尾崎一雄 講談社⑥尾崎一雄対話集 永田書房⑦瘋癲老人日記 谷崎潤一郎 中央公論社⑧罰せられざる悪徳・読書 ⑨冬の二人 立原正秋/小川国夫 創林社⑩サハラの港 小川国夫 小沢書店⑪花深き 小川国夫 湯川書房⑫光と翳りの季節 利沢行雄 小沢書店⑬死の影の下に 中村真一郎 真善美社⑭死の遍歴 中村真一郎 文藝春秋⑮ピンチランナー調書 大江健三郎 新潮社⑯浮く女沈む男 島田雅彦 朝日新聞社⑰亡命者 高橋たか子 講談社 ⑱新潮日本文学アルバム 内田百閒 ⑲あめいろぐ…