最近、目の前に、 無数の〝まるいち〟が飛ぶようになった。 まるいちというのは、 棒のような細長い胴体に、 半透明の丸い羽を持つ、 直径1ミリほどの小さな昆虫で、飛ぶときに 羽を円になるように三六〇度広げたり、 すぼめたりして飛び、その様子が、 丸に見えたり、数字の1に見えたりするので まるいちと呼ばれていた。 非常に小さいうえに、 物体の裏側にしか存在できないため、 これまで、滅多に見かけることはなかった。 しかし、最近、このまるいちに 異変が起きているのだという。 というのも、まるいちは、 羽を〝まる〟のカタチに広げたり、 〝いち〟のカタチにすぼめたりすることで 空中に浮遊するのだが、ここへ…