世界史序説 (ちくま新書)作者:岡本 隆司筑摩書房Amazon世界史をめぐる様々な論点を読者に提示して興味の尽きない本書であるが、西欧近代文明の意義を語る第四章以降も面白い。西欧は18世紀後半に至るまで基本的には辺境の文明であり、16世紀以降、西欧が「環大西洋革命」「大航海時代」を通じてアメリカ大陸とインドを世界の貿易網に組み込んだ後も、西欧では創出することのできない先進的なアジアの富をアメリカ大陸から得た富と交換するだけにとどまり、政治・軍事的にもアジアの広域を支配する諸帝国に及ばなかった。西欧が「産業革命」によりアジアの富を輸入代替し、政治・軍事的にもアジアに優越するようになったのは18世…