個人的に今年の大阪アジアン映画祭でもっとも笑いながら鑑賞した作品だった。舞台は中国東北部黒竜江省の都市で、中年男性の同性愛カップルを中心に話は進行する。 随所に出てくる奇妙な台詞や間の抜けたシュールな言動、独特のユーモアセンスは一度観ただけでは理解できない箇所も少なからずあった。 全編モノクロの映像は、冷涼で無機質な都市をよく表しており、記録映像のような感があった。例えば、作品のなかであったビョークのいる北欧と緯度が同じという発言は、中国の多様性や厳しい気候に独特の陰鬱さに気付かされた。 そして中国というよりもロシアのような街並みや突飛な言動とは対照的な淡々としたカメラワークが、社会主義的な管…