どういうわけかノウズイにピンピンと来ねえんだ。 ―殿山泰司― *** むかし、週刊少年マガジンに『中華一番!』という料理バトルマンガがあり、そのなかに「舌覚疲労封」という技がでてきたのを、いまもおぼえている。審査員が相手の料理を試食するまえに、それと相性のわるい濃い味の品をだすというものだった。 こんなふうに、感覚というものはあてにならない、とまではいわないが、よく働くときもあれば、アッサリ麻痺してしまうときもある。かといって数値化してもこぼれおちてしまうから、話は少々ややこしい。 つまるところ味は好みである。相手のある場合にかぎり、押さえておかえなければならない部分がでてくるというだけである…