前回はみね打ち(棟打ち)が古態を多く残すとされる『延慶本』を含む『平家物語』諸本や『義経記』などに見られるように、意外と古くから知られる攻撃手段であったことをお話しました。今回は近世文献に登場する戦国武士や武芸者たちによるみね打ちの話題を扱います。 まずは旧ブログにおいて塚原卜伝関連でたびたび使用したことで自分にとってもなじみ深く、また近年価値が見直されてきている『甲陽軍鑑』からです。 ■『甲陽軍鑑』品第卅一「浄土宗法花宗論 付於勝間迫合之事」(※1)・然処に、近藤と申牢人名乗て、原美濃守近所へ刀をぬき持てのりよる。原美濃守刀をぬきはづし、みねうちに近藤が甲のしころのはづれ首の骨をたたき、馬よ…