帝の 月のすむ 川のをちなる 里なれば かつらのかげは のどけかるらむ 〜月が住む…澄んでいる川の向こうにあるという桂の里だから、 月の光をゆっくり眺めることができることであろう。 これに対しての返歌になります。 久方の 光に近き 名のみして 朝夕霧も 晴れぬ山ざと【源氏の君 勅答の歌】 〜桂の里といえば月に近いように思われますが それは名ばかりで朝夕霧も晴れない山里です 〈18帖 松風より〉 大井の野に残った殿上役人が、 しるしだけの小鳥を萩《はぎ》の枝などへつけて あとを追って来た。 杯がたびたび巡ったあとで 川べの逍遥《しょうよう》を危《あや》ぶまれながら 源氏は桂の院で遊び暮らした。 …