以前、第一部 第四章 一5で中村雄二郎の「共通感覚」(『哲学の現在』)の内容がありましたが、中村雄二郎には西田幾多郎の哲学についての著書もあります。第一部第四章でも「見るものと見られるもの」の分離について述べましたが、今回はそれともつながる内容です。 3 西洋の特徴である二元的見方― 親友・西田は禅の修行を通じて、自他一如の境地を「純粋経験」と名付け自身の哲学を樹立 大拙氏は、科学が西洋において異常な進歩をなしたのは、西洋の考え方が自分と自分に対するものとを分け(自と他を分離し)てから出発する二元論に根ざしていることによるもので、自我に対するもの、それを客として理解する。主客の対立のない世界を…