風雲一代男 金忠輔:野村胡堂 1951年(昭26)湊書房刊。 1959年(昭34)川津書店刊。表題を「天竺浪人金忠輔」と変えている。 江戸中期、文化文政年間に実在したとされる仙台藩の浪人、金忠輔(こん・ちゅうすけ)の破天荒な事績を小説化したもの。金(こん)は仙台以北に散見する苗字で、現在では金野(こんの)という変形も多い。他に「今」「今野」もある。すでに江戸期から史伝のほか講談等でも語り継がれていた。野村胡堂も岩手県出身なので、この人物に興味を抱いた可能性がある。 藩士の武術を教える道場主によって殺された親の仇を討とうとしていた小娘を助けて、忠輔は仇討ちを成就させるが、身辺を追われる立場となり…