ここでの日本人生物学者たちとは木村資生と渡辺格である。 木村資生から始めよう。彼の分子進化の中立説はノーベル賞級の発想と発見であった。その業績の先進性は高く評価されるべきだろう。 もう一人、分子生物学の渡辺格である。ウイルスの遺伝特性を解明したその業績も先進的だった。 両者とも後期には人類の将来に思いをめぐらした。 木村資生は優生学的イデオロギーを抱いていた。 マラーの生殖質選抜の方法は、人類の積極的優生の手段として、一般的知能とか健康、社会的協調性といった形質の遺伝的改善を行なう上で、科学的にはおそらくもっとも安全・確実で、長期的にも有効な方法といえるかもしれない。 「マラーの生殖質選抜」と…