明治中期の木材搬出は、特殊材以外は川を利用した管流しによったという。 木材を山元で割り、寸甫や穂太木に採材して、堰き止めた水と一緒に流し、下流に組んだ矢来に漂着させる方法だった。 また、冬季には人橇や馬橇によったが、明治四十年には仁鮒から軌道が敷かれ、トロリー(貨車)による手押運材が開始されるようになると、大径材をそのまま製材工場に供給出来るようになった。男女二人が一組となって手押しで走るのが楽しみで、希望者が多く断るのが大変だったという。 大正五年には森林鉄道に改修され、蒸気機関車が杉丸太を満載した貨車を引いた。まだ、電灯もない時代だった。 昭和二十八年には能代営林署管内の軌道延長が六十八キ…