私は母にこんなことを言ったことがある。 「私はタイムマシーンがあっても、戻りたい過去はない。 だって幸せだった瞬間がないから」 そんな悲しいこと言わないで。母はそう言った。 私は当たり前かのように言えた。朝ごはんは何?と言うようにだ。 後でその文字をよく考えたら、 これはとてつもない悲しさと切なさ諦めをはらんでいるものだと気づいた。 20代の人が過去への幸福(些細なことでいい。小学校の給食が美味しかったから戻りたいなど)がない、と断定してしまうなんて。 まるでこれからもそんな”とき”など訪れないと予言するように。 人が一生で経験できるかできないかわからない経験をたくさんした。 身体の故障。精神…