訓読 >>> 540我(わ)が背子(せこ)にまたは逢はじかと思へばか今朝(けさ)の別れのすべなかりつる 541この世には人言(ひとごと)繁し来(こ)む世にも逢はむ我(わ)が背子(せこ)今ならずとも 542常(つね)やまず通ひし君が使(つか)ひ来(こ)ず今は逢はじとたゆたひぬらし 要旨 >>> 〈540〉あなたにもう二度と逢うことができないと思ったせいか、今朝の別れ際には、どうしようもなく、ただぼんやりしていたことです。 〈541〉この世では人の噂がうるさくてままなりません。せめて来世にこそお逢いしましょう、今でなくとも。 〈542〉いつも絶え間なくやってきたあの方の使いが来なくなった。もう逢う…