この契約に関しての報酬ですが2パターンあります。①定額報酬 定型の業務(銀行引き出しや支払い業務など)に対して月単位で報酬額を設定します。長期にわたることも考えて、委任者の資産額、仕事量などを加味したうえで決定する必要があります。②個別報酬 契約で規定される内容に限定されて都度報酬が発生します。個別代理権を行使する際や規定された報酬を受領する場合は、本人の他監督する立ち場の者がいれば、その者に対して代理事務と受領報酬額の報告が必要です。
財産管理等委任契約に関しては、委任事務の範囲を検討が必要です。任意後見のように判断能力が無くなり、家庭裁判所の選任する監督人のもと管理する財産とは違い、あくまでも委任者の代理として金銭を管理保存していくという事になります。なので不動産に関わる部分や株式などについては、委任者の意思で指示、管理するものとされています。 そして委任者の判断能力が不十分になった時は、委任者の同意を得たうえで任意後見監督人選任の申立てをする義務があるという認識が受任者には必要です。
この財産管理等委任契約は、見守りと任意後見の間にある契約で、本人の判断能力はしっかりしているが、ご病気や足腰が不自由になったりしたときに、銀行やその他手続きが困難になった時に開始される契約です。 お金という財産を扱う契約ですので、見守り契約よりも受任者の注意義務は増すことになります。ただし全財産というわけではなく、契約上限定された範囲内でというケースが多いようです。
任意後見契約は、判断能力の低下に伴い、家庭裁判所に監督人選任の申立てをして初めてスタートしますが、第三者がこの任意後見受任者の場合はそのタイミングを適切に把握することが難しい場合があります。 また後見人受任者としては、出来れば任意後見発動前に委任者との時間を共有し、信頼関係を気付いておくという事も非常に大切です。随時 暮らしぶりを確認することで、その先の任意後見業務に活かすことも可能だと思います。
実際に任意後見契約が始まる前に継続的見守り契約(見守り契約)を結ぶ方もいらっしゃいます。 見守り契約は文字通り、月に1,2度電話や直接訪問し、委任者の生活状況、健康状態といった様子をうかがうという契約です。任意後見契約が発動した時は自動的に終了というのが一般的です。また契約書にもその内容を記載しておきます。 費用的には月1万円程度が相場のようです。
実際に任意後見の運用が始まってからの報酬費用についてですが、後見人を親族の誰かにする場合はかかりません。親に対して子どもなどです。 第三者の士業(弁護士、司法書士、社会福祉士)などに依頼する場合は、2万円~5万円程度毎月かかります。頼む相手、内容などによって変わってきます。 また任意後見監督人は必ず家庭裁判所に選任してもらわないといけないためその費用も掛かります。1万円~2万円ぐらいだと思いますが、この金額は家庭裁判所が決定します。
公正証書作成にあたっては、公証役場の公証人に支払う費用があります。現状私がお手伝いさせていただいて場合、登記費用、郵送用レターパック、収入印紙などを含めて2万5千円ぐらいです。 士業の専門家に文案の作成、公証人との打合せなどをお願いするとまた別費用が掛かります。これは士業の先生ごとに違いますので、見積もりを取る等しましょう。 契約書に雛形は存在しますが、ご自身の意向をくみ取った代理権目録の作り込みや任意後見制度に関することなどを相談・質問することなどを考えると任意後見に詳しい専門家に入ってもらった方が良いかと思います。
先に述べたように任意後見契約は、公正証書で作成しなければいけませんので、その作成には費用が掛かります。そして任意後見制度運用にあたっては、親族が後見を行う場合は報酬は基本発生しませんが、、第三者に依頼した場合は月単位で費用が発生します。また任意後見監督人に支払う費用は必ず掛かりますのでお忘れないように。 まず作成費用から見ていきたいと思います。
任意後見契約の解除にあたっては、解約申出者の真意を確認するため公証人の関与が必要とされています。 なお任意後見監督人が選任された後では、当事者の意思確認、権利保護の要請から家庭裁判所の許可が必要とされています。 また任意後見契約の内容の変更について、法律には規定がありませんが通達により公正証書の作成によらなければならないとされています。勝手に変更はダメという事ですね。
任意後見契約は、一般的にはなじみの薄い表現や難しい法律用語などが使われることが多く、契約当事者によってはその知識の差などが非常に大きい場合があります。 そこで任意後見契約書を公正証書で作成することを義務化することで、公証人による契約内容のチェックや契約当事者の判断能力、意思確認を行うことで 契約内容の適切性と内容の合意があることが確認されることになっています。