「企業買収を扱った作品」の第二弾は、牛島信『第三の買収』(幻冬舎、2007年)です。M&A のひとつに、MBO (マネジメント・バイアウト)と呼ばれる手法があります。それは、企業の経営陣が投資ファンドや金融機関から資金を調達し、既存の株主から自社の株式を買い取り、経営権を取得するものです。この本では、中堅商社「龍神商事」の社長が決意したMBO の紆余曲折のプロセスが描かれています。MBO についての知識がまったくないにもかかわらず、その決意をしたトップの判断はどのような結果を引き起こすのでしょうか? [おもしろさ] 揺れ動く心の動きにまで立ち入った巧みな筆致 本書の特色は、ひとつのMBOの発端…