書けば書くほどに調子が出てきて筆がすすむ。しかしどんどん自分しか見えなくなっていくようでもある。ミヒャエル・エンデ文、佐藤真理子訳「満月の夜の伝説」にこんな一文があった。(以下、内容についての記述あり) お前の魂を救ってやろうなどと、思い上がっていた。だが逆に、お前がわたしの魂を救ってくれた。 簡単にまとめると、盗賊を諭そうとしていた隠者は、満月の夜の出来事のからくりに気づかなかったのに、諭されていた盗賊がそれを見破るという話である。物事を説く側と説かれる側がいつのまにか反対になっていくところが面白かったのだが、痛いところを突かれたような、身につまされたこと強く押したい。親と子、先生と生徒のよ…