云《い》はぬをも 云ふに勝《まさ》ると 知りながら 押しこめたるは 苦しかりけり 末摘花の姫君に by 源氏の君🌷 〜何もおっしゃらないのは、 おっしゃる以上の思いがあるのだと知ってはおりますが、 そうして黙ってばかりいらっしゃるのは 苦しいことですよ。 【第6帖 末摘花】 「いくそ度《たび》 君が沈黙《しじま》に 負けぬらん 物な云《い》ひそと 云はぬ頼みに 言いきってくださいませんか。 私の恋を受けてくださるのか、受けてくださらないかを」 女王の乳母の娘で 侍従という気さくな若い女房が、 見かねて、女王のそばへ寄って女王らしくして言った。 「鐘つきて とぢめんことは さすがにて 答へまうき…