父の説明は言葉足らずのことが珍しくありません。 「○○○の店まで、車で乗せて行ってくれ。」 と頼まれたものの、私はその店を知りません。 「店はどこにあるの?」 と聞くと、 「道がこうあって、もう一つ道がこうあって、その交差点に信号があってその近くのここだ!」 両手の平で、縦の道に続いて横の道をゼスチャーで示し、人差し指で交差点にある信号の場所を示し、そこから少し離れた所を「ここだ!」と言いながら人差し指でちょん。 それを自信満々で言うのです。 ここだ! 以前から、冗談なのか本気なのか区別がつかない説明が多いので、不意に頭に浮かんだ「父は認知症ではないか」との疑いを頭の中で否定しながら、聞き返し…