井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(18) 今回は、第2章 エゴイズム 第3節 正義とエゴイズム 2 エゴイズムの問題 の続き (3)正義論におけるエゴイズムの位置(p.59~)である。 エゴイズムの哲学が批判しているのは、個々の正義観が提示する個々の正義原則ではなく、すべての正義観が前提している正義の理念である。その抽象性・形式性の故に一見「空虚な公式」と思われる正義の理念が、既に一つのコミットメントを内蔵していること、基準を補充される以前に正義の概念自体が、既に一定の規範内容を有していることが、正義理念の分析によって示された。 以前に読み書きしたことをすぐに忘れてしまうので思い出そ…