3.近世の日本仏教の制度化 近世幕藩体制のなかの仏教 「日本の仏教について②」でも述べたように、遁世僧たちは新たな教団を作り、積極的に穢れに関わることによって、神道に組み込まれることのなかった葬送の場面において、力を発揮することとなった。それは、誕生や結婚などの生と結びついた神道と、葬送儀礼に関わる死と結びついた仏教との宗教上、信仰上の棲み分けが行われ、「安定した生活構造が確立しえた」(末木 1992: 236)と見なすことも可能だろう[1]。それゆえ、近世の仏教の第一の特徴は、「葬式仏教」の確立をあげることができる。 そして、さらに近世の特徴としては、教団の拡大によって生じた権力との拮抗とそ…