2024年7月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 5月、立て続けに先輩記者たちの偲ぶ会が開かれた。一人は昨年末に亡くなった元ソウル、ワシントン特派員の中島哲夫さんで、享年66。50代半ばで若年性アルツハイマーを発病し、社説を書く仕事ができなくなり、人とも会わなくなっていた。最後は家族に見守られひっそりと逝かれたという。 病気が病気だけに、生前会いに行けなかった人も多く、有志たちがどうしてもと東京・大手町の広いレストランで偲ぶ会が開かれた。 中島さんとは、私が毎日新聞の松本支局大町駐在から東京の外信部に異動してきた30歳の春に初めて会った。会社の寮も同じで、近所づきあいもした。彼はその1年前に九…