訓読 >>> 松が枝(え)の土(つち)に着くまで降る雪を見ずてや妹(いも)が隠(こも)り居(を)るらむ 要旨 >>> 松の枝が重みで地に着くほどに降り積もる雪、こんなすばらしい雪を見ることなく、あなたは部屋に閉じ籠っておられるのでしょうか。 鑑賞 >>> 冬の日、元正上皇が、靫負(ゆけい)の御井(みい)に行幸なさったときに、内命婦石川朝臣(ないみょうぶいしかわのあそみ)が詔に応えて雪を詠んだ歌。「靫負の御井」は、衛門府の古名。「内命婦石川朝臣」は、大伴安麻呂の妻になった石川郎女のことで、坂上郎女・大伴稲公の母となる人です。「内命婦」は、自身が五位以上の女官を指します。なお、左注に次のような補足…